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すごく古典的なタイトルだが、今の人間社会で見習うべき野鳥の崇高な習性だ。 

鶴は雪降る凍てつく寒夜の中でも自分のヒナや卵を温め続けて守ろうとする、

時には親鳥自身が凍え死んでしまうことがあると言う。

キジは、山火事が近づいて来ても子供を置き去りにして逃げたりしない、一緒に

生死を共にするという、親の深い愛情を表した言葉に思う。

 

山火事ではなかったが、私は偶然にもこの後者の事例に遭遇した。

 

もう数年前になるが、幼馴染みで先輩が自社の物流センターを建築するために

かなりの土地を購入した。千葉県成田市の多古町という場所だった。

除草と盛り土の工事があり、その立ち会いに付き合った。

除草機とローラーのものすごい爆音が辺りの静寂を打ち破った、すると暫らくして機上の

作業員が中央に10mほど近い方向を指さした。先輩と私は恐る恐る近づいてみた。

なんと、そこにはキジが悠然と卵を温めていたのだ。

私はその時、確かにキジと目と目が合った。

キジはなんとも静かな眼差しと涼しい表情でいちべつを投げ整然としていた。

 

人間だったら、どうするだろう。自分の身辺間際に危険が近づいてきた時にこれほど冷静に

子孫を守る本能を発揮できるだろうか。私はこの気高い動物の本能に驚き目で訴えた。

 

心のやさしい先輩は、その環境を見守るために業者に工事の停止を依頼して切り上げてもらった。

 

あまりにも残忍な出来事の頻発する人間社会は一体どうなっているんだろう?

教育、家庭、政治、それぞれが至らない部分を互いの責にしているようにしか思えない。

 

現都知事の著書に「ノーと言える日本」と言う高名な書があった。

一般の世の中でも社会通念から逸脱していると思われる事が日常的に起きている。

ダメなことにはダメと言える「ノーと言える社会」、小さな勇気を大きなうねりとして行きたいものだ。

                                                  岩瀬

 

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