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お盆休み13日の上越新幹線、座席前の綴じ込み雑誌にふと目をやった。
 
夜空に浮かぶ大輪が抑えた色彩で何かを偲ぶ如く描かれている、
いかにも奥床しい挿絵を挟んで情感こもった文章のタッチが美しく且つどこか郷愁を呼ぶ。
伊集院静氏のエッセイだった。
 
心打たれ、何度か読み直した内容はこのようだった。
新潟、長岡の花火大会を見物に行った際の光景が写実的に描かれている。
会場の歓声と拍手の中で、一人の老婆が花火に向かって両手を合わせ拝むようにしていた。
妙なことだと思い、戻った知人宅の祖母さんに尋ねたところ
「長岡は戦争の空襲で大勢の人が亡くなりました。花火もその人たちの供養のひとつです」…
だから、さっきの老婆は花火を拝みながら夫や息子の安穏を祈っていたのだ。
 
そして、その文章は最後にこう結ばれている。
「人が集まって、祖先や亡き家族の人を偲ぶのはやはりいい習慣である。
日本が終戦を盆会の季節に迎えられたのは偶然ではあるまい。
戦争の愚かさを夏が来る度に思い返すのは日本人のつとめである」。
 
悲惨な戦争と、華やかな花火大会の対比が実に奥深く描写されていて心に刻まれた。
 
 
その3日前の8月10日、午後10時からのTV番組NHKスペシャルを見た際も、
似たような感情を持ちつつ逆に怒りと悲しみがこみ上げてきた。
「海軍400時間の証言・悲劇の神風・人間魚雷」は
前途ある若者を不帰の特攻へ駆り立てたであろう関係者の総括で、
当時の複数の将校による、回を重ねた反省会と告白の記録だった。
 
議論の核心に入ると沈黙と弁解を繰り返す。
番組一貫してのコンセプトと思える、
            「やましき沈黙」が悲哀な実態を物語っている。
 
全体で4000人とも5000人とも言われている純粋で勇敢賢者な若人が、
片道だけの燃料で死出の旅に出た。
その方々が尊い命を失くさずに存命であれば現在80数歳。
国民から信頼されるリーダーか政財学界の中枢を担う方が何人もおられたかも知れない。
日本歴史の歩みの中で、国の発展と社会の健全化に、もっと力強く貢献して下さったであろう。
まさに上記拝読の、平和を尊ぶ伊集院エッセイに共鳴する。
 
 
明日8月22日は新潟長岡同様、全国的にも名高い秋田大曲の花火大会だ。
知人からのお呼ばれで数年前に伺ったことがある。
ごった返す土手近くの桟敷の中でただ淡々と観賞したものだった。
今度尋ねる時はもっと謙虚に、さまざまな人たちの思いを感じ取り、安寧を祈りながら,
楽しむことにしようと思う。
 
                                                        岩瀬
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